Minolta Flex.typeV
                          現コニカミノルタ、合併前のミノルタが1954年に発売した日本産の二眼レフカメラ。
                          これを一番持ち歩いてます。




Minolta Flex III型


読みはミノルタ フレックス。
「ミノルタ」はもともとカメラシリーズの名前で、当時のミノルタは千代田光学精機株式会社という名前でした。

二眼レフカメラの歴史は1929年から始まり、現在は中国とドイツのメーカー2社を残すのみとなりました。
日本では、マミヤのCシリーズが95年に製造中止となり、製品は造られていません。


 フード装着。
  まずは簡単に仕組みを説明します。

  2つのレンズを取り付けたカメラを二眼レフカメラといいます。
 上のレンズはファインダービュー用、下のレンズが撮影用となっています。一眼レフカメラに比べメカニズムが簡単なので、強度を高めやすい構造です。
  二眼レフの多くは真四角の写真が撮れます。使用するフィルムはブローニー、本機は120ブローニー12枚撮りを使います。

  この当時“ミノルタ”はカメラのブランドネームであり、会社は千代田光学精工株式会社といいました。
  ミノルタフレックスは1937年から続くシリーズです。本機はそのIII型、ミノルタフレックス銘はこれが最終型となったそうです。
  III型は1954年発売で、定価43,000円。大卒銀行員の初任給が5,600円の時代ですから、かなりの高級機ですね!


 ロッコール75mm F3.5のレンズを搭載。
  下段レンズの左側がシャッタースピードレバーで、右側が絞りレバーとなっています。
  ちょっとしたトリビアがあります。両方を上に持ってくると雪だるまっぽく見えるのです。

 各レンズにはツバ(バヨネット)がついており、Bay1型のアクセサリを取り付けることが出来ます。

 僕は、てっきり二眼ではバヨネットが主流なのだと思っていたのですが、最近さまざまな種類があることを知りました。
  うちにいる使用可能な二眼レフは、全てバヨネット付きです。


上下クローズアップ  レンズは3群4枚構成。見たところ、焼結っぽいものが施されてます。
  シャッターは5枚羽。当時の最高級品だった、セイコーシャ・ラピッドを搭載しています。さすが高級機種、50年経っても元気に動きます。

  ビューレンズはVIEW-ROKKOR,75mm F3.2の3群3枚構成となっています。購入当初はフルノーマルだったので、ファインダーが暗いの何の。屋内・夜間はまったく使えません。
  なので、ファインダースクリーンに集光効果のあるフレネルレンズを咬ませて見ました。効果は抜群だ!!

  ロールオーバーでビューレンズ

 ファインダーカバーの開け閉めが一番気に入っている動作です。ほぼ金属の塊なので、ガシャッと軽快な音がします。
  もちろん、重いです。一日中首に下げておくのはお勧めできません。もっとも、ぶつける位じゃ屁でもないくらい頑丈ですが。

  ロールオーバーでガシャッ!

スタンバイ


ピントルーペ

 ピント合わせは、ビューを覗きながら側面のノブを回して合わせるもの。真面目な人向けにルーペまで付いてます。

  ロールオーバーでピントグラス

  この左のファインダーの構造上、光が差し込むとスクリーンが見えづらいのです。そんなとき、ルーペを開くと遮光器代わりになります。よくできてるなあ。


 ファインダービューのスクリーンです。スクリーンの大きさは、フィルムに焼きつくサイズと大体同じです。
  スクリーンの中心の凸は、ピント合わせの補助をするルーペなのですが・・・正直なところ、使い道がないです。

 左手で支え、覗きこみながら右手でピントを合わせます。スクリーンに写る像は左右逆転像なので、構図を改めるときは体ごと動かさないと混乱します。


フレックス右側面

 右下がピントノブ、右上にカウンター。左上が巻き上げノブで、巻上げとピントノブの間にはカウンターリセットがあります。
 手に入れたとき、巻き上げ機構が壊れていたので分解して直しました。そのときこの面だけ革を張り替えてあります。

 ロールオーバーでピントノブ


 ピントは80cmまで接近でき、 ノブ受けには被写界深度計がマークされています。

 ロールオーバーで最接近

  ノブダイヤルの大きさや回転の重さはかなり使い心地が良いです。

 巻き上げ機構の点検整備については、この右側面の革を剥ぐと共に、ピントノブと巻き上げノブの端面カバーを外す必要がありました。
  巻き上げノブについてはマイナスのビスが付いてますが、ピントノブはカニ目開けなる工具が必要です。
  意外とお高いです、カニ目明け。

無限遠〜0.8m


巻き上げカウンター  巻き上げにはオートストップ機能がついてます。
 巻き上げていくとカチン、とロックがかかります。撮影後、巻き上げノブの中心を押し込んでロック解除。再び巻き上げて、カチン・・・

  この巻上げ解除のボタンは、撮影後のシャッターロックの解除ボタンでもあります。この二つの安全装置により、バロンに比べて事故がかなり減りました。
 うーん、シンプルながらも機能的。すばらしい。

 撮り尽くした後は、ノブ中心を押しながらカウンタリセットを左斜めに押すと、シャコッ!と小気味よい音と共にリセットされます。

  ロールオーバーでカウンタリセット

 カウンタです。▽→1・・・12→◎と表示されます。
 小窓のプラスチックはちょっと古ぼけて、黄味がかかってきてますね。

 ロールオーバーでストラップブラケット

  最近は、このスリットに幅厚のストラップをつけています。純正の革ケースをつけるときは、固定用の金具がこのスリットに差し込まれます。

カウンタとストラップブラケット


 シャッタースピードと絞り値は、ビューレンズの上面に表示されます。
  レンズのサイズはどちらも同じですが、別段絞り加減がファインダーに反映されることはないです。
 まあ、予備知識が必要なのはどの分野の趣味でも同じことですし。ここら辺は適当でも誤魔化しが利きます。

簡単に云うと、
  シャッタースピードが速いと暗くなる・ブレ少ない
  絞り値が大きいと暗くなる・ピントマッチが広域
といったところです。

 これを理解して使うと、ストロボを使う機会がグッと減ります。ストロボ光が苦手な方は是非。


 シャッターレバーです。右の写真でチャージ、ロールオーバーでレリーズ。
  レンズを正面から見て、右側にスイッチレリーズを取り付けるアダプタがあります。

  シャッターショックは、ほぼありません。二眼レフは撮影室が極めて単純なためです。
  一眼レフカメラは撮影室にミラーがあり、撮影の瞬間ミラーが避けて光が入る構造になってます。従ってミラーを退ける機構がついてますが、ひどい物はその振動でブレが発生するものもあります。

  しかし、二眼も良い所ばかりではありません。ピントを修正しながら直ぐ撮ることが体勢的に難しく、動作のあるもの(子供や動物など)は非常に不得手です。

シャッターチャージ・レリーズ


解除  底面と、レンズを正面に見て右側面です。
  こちら側の側面は、アクセサリシューがあるだけで何もありません。メーカーによっては、ダイヤルの配置が逆になっているものもあります。
  底には、雲台ネジ穴と背面カバーのロックダイヤルがあります。あと、なぜか脚が付いてます。

  ロールオーバーでロックダイヤル解除

 フィルム交換時は、ロックを外して背面カバーを開きます。
 フィルムは下から上に巻き上げられていきます。実際には、上から下へフィルムを送ったほうが、平面が出て事故が少ないそうです。ミノルタの二眼レフ後期シリーズは上から下になっています。

  ロールオーバーで装填

フィルム装填


撮影準備  フィルムスプールは、側面のつまみを引っ張りながら装填します。巻上側は、軸に出っ張りが付いています。
  フィルムを装填したら、フィルムの端を巻上側の空スプールに取り付けます。

 ロールオーバーでフィルムを引っ張る

 スプールのスリットにフィルムを差し込むわけですが、スリットが手前を向いていない場合は巻き上げノブを回して修正します。

 ロールオーバーでスリットに挿し込み

  差し込むとき、フィルムがスプールのフランジ(端の羽の部分)の間にきっちり入るように、左右にスライドさせて調整します。どちらかに偏って巻き上げると、水平に撮れないのです。
  スプールの軸の固定にも、若干の遊びがあるのでスライドさせて調整します。

スリットに挿し込み


START

 スリットに差し込んだ後は、しばらく巻き上げていきます。巻上ながら、左右の偏りがないか、水平に巻き上がってくかチェックします。

  ロールオーバーの、STARTが赤点マークの位置まで来たとき、巻上を中断します。
  これでフィルム装填できました。この後、カバーを閉じます。


 カバーを閉じて、巻き上げカウンタをリセットします。▽マークが表示された状態から再び巻き上げ、カウンタに1 が表示されると、巻き上げロックがかかります。

  これで撮影準備が完了しました。
  本当は、フィルムの装填は暗がりで行うのが望ましいようです。

準備完了





以上。

ねんがんの にがんかめら を てにいれたぞ!

子供の頃からずっと二眼レフカメラが欲しかったので、ただいじくるだけでも楽しいです。
なにより、フルセットを15,000円で買えたことも大きい。

発売当初としては高級機だったのかもしれませんが、僕は色んなところに連れて行っています。
中古価格と頑丈さから、バリバリのフィールドワーカーといったイメージ。

これからもよろしく!



(06/24.2010)


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